ペニンシュラロックリミテッド(以下「PR」)及び株式会社スノーボールキャピタル(以下「SBC」)は、現在、直接又は間接に、岩崎通信機(6704)(以下「岩通」)の株式を18.69%保有しています。
PR及びSBCは、岩通の取締役会に対して、以下の点を説明するように要望いたします。
① 2023年11月30日に実行した第三者割当増資による企業価値向上についての説明
岩通は、2023年11月30日に、当時の発行済み株式総数約1,000万株に対して約50%相当に該当する約490万株の第三者割当増資について公表しました。
その際の公表資料によれば、岩通は、2022年5月13日に発表された中期経営計画を達成させるという方針の元に、第三者割当増資を実行したものと理解しております。
当該中期経営計画では、まず、第1層として「徹底した固定費削減」にて12億円の営業利益改善を図り、第2層として「事業の選択と集中及びアライアンスによる成長戦略推進」にて4億円の営業利益効果をもたらし、その結果ROE6%超を実現させるものとされておりました。そのうえで、第3層として岩通が行う「M&Aによる成長戦略推進」によって6億円の営業利益効果をもたらすとされておりました。
仮に中期経営計画を達成させるために第三者割当増資が必要であったというのであれば、上記中期経営計画の目標の達成に向けてその資金をどのように用いたのか、それにより計画がどのように進捗したのかを確認する必要があります。
そもそも岩通は、実質無借金経営であり、企業として資金繰りの困難はありません。この観点からも、第三者割当増資が真に中期経営計画の達成に向けて実施されたのか、説明責任を果たしていただく必要があります。しかしながら、中期経営計画の3年目となる今期の業績を岩通は非開示にしており、かつ、今後の中期経営計画への取組みについても一切の説明がありません。
今般の株式交換は、わずか半年前に実施された上記第三者割当増資の割当先(あいHD)との間で、突如としてその実施が決定されたものであります。上記第三者割当増資の正当性・合理性と、株式交換の正当性・合理性は密接不可分であります。
以上の次第で、岩通の取締役会・特別委員会に対し、株式交換契約の議案を上程する前提として、中期経営計画の進捗状況とともに、第三者割当増資の実際の資金使途などを既存株主に対して真摯に説明をすることを要望いたします。
② 株式交換時における岩通の企業価値・株式価値算定資料の開示及び説明
株式交換比率の算定結果は開示されていますが、岩通の企業価値・株式価値については開示されていません。交換比率に基づいた金額で言えば1株あたり約1,400円程度であり、その金額を元に計算すると200億円程度の株主価値(約1,400円×約1.5千万株)となります。
他方で、2024年3月末の純資産は299億円であり、この純資産には、久我山本社及び賃貸等不動産の含み益は含まれておりません。当社としては、開示情報や公開情報により、久我山本社の時価を査定すれば土地含み益は150億円程度、かつ、賃貸等不動産の含み益が40億円程度ありうるものと見込んでおります。合計すれば、約190億円程度の含み益がありうるところ、岩通の取締役会・特別委員会は(あるいは、その算定機関は)、これらをどのように評価したのか、また、その評価結果を踏まえて、岩通の株式価値をどのように算定した上で、株式交換比率の妥当性を検証したのか説明をすることを要望いたします。
なお、上記2点を踏まえれば、現時点であいHDが株式交換契約承認議案につき議決権行使を行う場合、著しく不当な決議がなされる可能性があります。第三者割当増資の効果や中期経営計画に対しての進捗について適切な説明がなされていない状況にあり、第三者割当増資が、実際には、今般の株式交換を実施するために、あいHDに議決権を付与し、かつ、当時(第三者割当増資前)27.13%相当の議決権を保有していた当社を含む、既存株主の議決権の希薄化を目的としたものであったとの疑念が強まっております。本件は、本来、特別利害関係者であるあいHDを除いた既存株主における特別決議が行われるべきものであり、仮に、あいHDの議決権行使を前提に特別決議の可決要件を判断して本株式交換を強行する場合には、当社としては、株主総会の決議取消事由である「特別の利害関係を有する者が議決権を行使したことによって、著しく不当な決議がなされたとき」に当たる可能性が高いと考えており、法的手段をとることも検討する予定であります。また、株式交換が否決された際には、臨時株主総会にて、取締役の派遣含めた議案を上程する予定です。選任された場合には、本件の一連の取引について特別調査委員会の設置を行った上で、全て株主の皆様に説明責任を果たすように提言してまいりたいと考えております。
上場企業として、また100年を超える歴史ある企業として今まで支えてきた株主に対して誠意ある説明や理解を求める行動ではなく、既存株主を蔑ろにするようなやり方で株式交換を実施しようとすることは、社会通念上許される行為であるとは考えられません。岩通取締役会には、本要望を踏まえた真摯な対応を求めます。